私事ですが・・・・ [雑記]

少し前、こんなニュースが飛び込んできた。


『日本臓器移植ネットワークは6月14日、6歳未満としては初の改正臓器移植法に基づく脳死判定を
富山大病院が入院患者に行い、脳死と確認したと発表した。
家族が臓器提供を承諾した。臓器が摘出され、移植される見通し。

臓器提供できる条件を15歳未満にも広げた2010年7月の改正臓器移植法施行後、
15歳未満の脳死判定は2例目だが、より厳格な判定基準を適用する6歳未満では1例目。』

この件に関して、家族で話をしました。

私は・・・・うちの王子が脳死になっても、絶対に臓器提供をする気はありません。
髪の毛1本だってあげたくない。

ところが王子は・・・・「死んじゃってるんだから、使える臓器は全てあげてもいいよ」と言いました。

実に、あっさりと・・・

彼にとって臓器提供は、身近な話だからだと思います。



2010年4月28日、私は生体腎移植のドナーになりました。

047.JPG

レシピエントは、殿です。

王子は、高校生になったばかりの15歳で10日間、4LDKの一軒家でたった一人で暮らしました。

学校へ行き、掃除や洗濯をし猫の世話をしながら一人で過ごしました。

何故かと言うと、私は親や姉妹に話さずに、このOpeに挑んだからです。

殿が、私の両親や姉妹に負い目を持ってほしくないという想いからでした。


話は前後しますが、殿が『糸球体腎炎』という診断を受けたのは、まだ王子が3歳位の頃でした。

それでも激務をこなしていました。

内服で騙し騙し仕事をしていましたが、それも限界がやってきました。

それからは、入退院の繰り返しでした。

王子は、普通の子供がするような父親とのキャッチボールすらできませんでした。

もちろん、家族旅行なんてもってのほかでした。

小学校の時は、殿の入院する病院までバスで行き、病室で宿題をしながら私の帰りを待つこともありました。

友達と遊びたい盛りの年頃でしたが、一つも文句を言った事がありませんでした。

本当に父親想いの王子でした。


内服での治療も限界がやってきて、遂に人工透析を受けなくてはならなくなりました。

週に3回、4時間の人工透析です。

最初に殿の腕に穿針された時、涙が止まりませんでした。

一生、この生活をしなくてはならない・・・・

私は、殿が人工透析になってしまったことを誰にも言いませんでした。

身体障害者になってしまった殿を守りたい気持ちで一杯だったからです。


それから5年が経ち・・・・

ふとしたことから生体腎移植のことを知りました。

ネットで調べまくって、血縁でなくても移植が出来る事を知りました。

そこで私が考えた事・・・・・

一日おきに、しんどい思いをして透析をして15年生きるより、移植をして定着率15年に賭けよう・・・と。

けれど殿は、とても迷っていました。

Ope当日まで・・・・

健康な私の身体にメスを入れ、腎臓を提供してもらう事を・・・・

逆に私は、ヤル気満々でした。

明るい未来しか見ていませんでした。

これで、健康なお父さんを王子に見せてあげる事ができると・・・・

王子が大人になったら、一緒にお酒を楽しめるようになればいいなと・・・・・

それが、私の一番の望みでした。


いよいよOpeの朝、私は、思いがけないプレゼントを貰いました。

それは、祈るマリア様の画像でした。

勇気百万倍でした。


無事Opeが終わり、痛みに一晩中苦しみましたが、私の身体につけられた何本ものチューブを
抜管してもらうには、歩いてトイレまで行けるようにならなければいけませんでした。

まず、酸素のチューブを外し・・・・それから、数本のチューブを抜管してもらい・・・・
痛みを堪えて点滴スタンドにしがみついて歩きました。
殿の部屋に向かって・・・・

私の傷の痛みは、日を追うごとに薄れていきました。

毎日、点滴スタンドにエスコートしてもらい、広い院内を徘徊していました(^^)

職業柄、早期離床が早期回復につながる事を知っていたからです。


殿の方は・・・・・結構大変でした。

傷も大きかったし、毎日お腹がいっぱいになってしまうほどの免疫抑制剤を投与されていました。

歩くのも必死だったようです。

私は、毎日3階の病室から1階の売店(ミニストップ)まで1ℓの水を2本買いに行くのが日課でした。

それを殿の部屋に届けるのです。


まぁ、そんな感じで10泊11日の入院生活を終え、殿より一足早く退院しました。

迎えに来てくれる人もいなかったので、地下鉄とJRを使って帰りました。

今まで私をエスコートしてくれてた点滴スタンドはもうありません。

病院の中と違って、外に一歩出ると一歩一歩が辛かったです。

いつもの3倍くらいの時間をかけて何とか帰宅。

家に着いて、先ずやった事は・・・・掃除!

そんなこんなしているうちに王子が学校から帰ってきました。

しかも、いつもより早く・・・・・(^^)♪


殿は、予定より長い入院になってしまいましたが、無事帰宅。

免疫抑制剤とは、一生付き合っていかなければなりませんが、
Ope後2年4ヶ月たった今、見違えるほど元気です。

職場にも、復帰しています。

私が提供した腎臓は、小ぶりだけど高性能だとDr.が言っていました。

その腎臓がどれだけ頑張ってくれるかわからないけど・・・・・


・・・・・で、家族で話した続き・・・・
私 :「 じゃあ、王子は、お母さんがお父さんにあげた腎臓がダメになったら、王子の腎臓をあげてくれる?」

王子:「 そんときになんなきゃわかんないけど、多分あげると思うよ。」


王子、ありがとね。
気持ちだけ貰っておくね。

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今になって、こんな重い話を記事にするのはどうかと思ったんだけど、心の整理をつけたくなって・・・・

これは、決して美談ではありません。

かと言って、偽善でもありません。

私のしたことは、必然だと思っています。

私に与えられた・・・・




久々の記事が、重~い長文ですみません。


keep on rockin'
♪ Julia
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コメント 15

せいじ

大変な選択でしたね。
juliaさんご家庭がいつまでも健康で守られます事を祈っています。
by せいじ (2012-08-21 07:07) 

お水番

お久しぶりです。
ちょっとコメントする言葉が見つからないのだけど、本当に頑張ったね。
Julia さんの腎臓を、夫婦でひとつずつ持っているって、大変な絆だね。
くれぐれも無理をせずに、健やかな暮らしを祈っています。


by お水番 (2012-08-21 11:30) 

tamanossimo

なんてこと…

「大変だった」なんてかんたんな言葉では
言い表せないけど…
きっときっとJuliaっちのご一家に
この先たくさんの幸せがおとずれるように、
祈っているからね♪
by tamanossimo (2012-08-21 11:54) 

vega

また明日も、頑張らなければ…。
ありがとうございます。

by vega (2012-08-21 20:59) 

DON

家族愛ですね(^^ゞ
私も、その時にならないと分かりませんが。
王子と同じ答えです。
by DON (2012-08-21 21:32) 

haku

2年前のゴールデンウィーク、
そうだったんですね...
何故、入院なのかと心配しておりました
そんなこととは露知らず...
励ましも出来ず、すみませんでした
by haku (2012-08-21 21:46) 

しげ

お久しぶりです。
昨年身内が病気になり、「大変だね」とは簡単に言えないことがよく分かりました。
私とは比べものにはならないくらいのご苦労でしたね。
これからも大きな愛でご家族を包んであげて下さい。
くれぐれも無理なさらずに^^
by しげ (2012-08-21 23:06) 

Studio-Oz

おはようございます

何はともあれ良かったんだと思います。
術後の色々・・・
旦那さんもJuliaさんも大変でしょうが
今が素晴しいと思える人生、歩んでいけると良いですよね・・・
by Studio-Oz (2012-08-22 05:37) 

2tom

お久しぶりです。m(__)m

健康であることをほんとにありがたいと実感しました。

これからも、皆さんご健康で過ごせますように…
by 2tom (2012-08-22 12:35) 

カリメロ

お久しぶりです^^ 
ご訪問ありがとうございます^^嬉しく思っています♪
>私のしたことは、必然だと思っています・・・
『必然な選択、決断だった』それが『愛』なんだと思います。
当たり前の生活が、当たり前ではない事を知っているからこそ
家族愛、絆が強く、毎日を大切に、些細な事も楽しいと思い
過ごしていけるんですね。
今までのjuliaさんの記事を思い返してそう思いました。

私は20年以上前に、母を脳死で亡くしています。
当時はドナーカードも無く、脳死判定後一ヶ月入院していましたがDrから話もありませんでした。
もし当時に話があったらどうだったんだろうか・・・20年たった今でも家族と話をしますが、難しい問題です。

これからも皆様が健康でおられる事を、心から願っております^^
by カリメロ (2012-08-23 17:12) 

トモーノ

病気が気づかせてくれる“ファミリー・ヴァリューズ(家族の価値)”ってあるかなーと思います(._.)。ウチの親父もお陰様で、3日前に無事ストーマを閉じる手術を終えることが出来ました^^。

確証を得ておりませんが、僕が大好き(1番好きかも)なザ・バンドのメンバーだったリヴォン・ヘルム氏の、これが最期のステージなのかな?リヴォン氏に寄り添ってハーモニーを付けているのは実の娘さんのようです^^。
http://www.youtube.com/watch?v=HBxNnB5h3NU

グローリーランドという曲(?)のことも何も知らないですけど、Juliaさんがお暮しの今そここそがってつもりなんですけれども、僕馬鹿なので、もしかしたらトンチンカンなこと言ってるかもしれません(._.;)。もしそうでしたらごめんなさい<(_ _)>。

でわ残暑厳しいですけれどお元気で^^!

by トモーノ (2012-08-24 01:02) 

リン

私の言葉では伝わらない部分も多くあると思いますが、
ただ、一言。。。
愛ある家族だなって思いました。
by リン (2012-08-24 07:23) 

COLE

命の大切さを共有できている素晴らしいご家族なんですね
by COLE (2012-08-26 08:40) 

TURKU

年明けの家族旅行の裏には、こんな大変な事があったんですね。
Juliaさんのご家族の絆って、本当に素晴らしいなって思いました。
王子君もしっかりとそのメッセージを受け取っている。
これこそ家族ですね。
by TURKU (2012-08-29 00:53) 

seawind335

家族って素晴らしいですね。
by seawind335 (2012-09-01 10:07) 

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